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浅田真央さん トリノで見たい (朝日新聞 2005年12月20日社説)

(前略)とても残念だ。なんとか五輪で晴れ姿を見ることができないものかと思う。
真央さんの前に立ちふさがっているのは、国際スケート連盟が96年に決めた年齢制限の規定だ。五輪前年の7月1日の前日までに15歳になっていない選手は出場を禁じられた。9月生まれの真央さんは3カ月足りない。
(中略)しかし、真央さんを外した争いでは、トリノの優勝者は真の世界一とはいえなくなる。日本の連盟はすでに持つ3人の枠に加え、真央さんの出場を特例として認めるよう世界に働きかけたらどうか。(後略)


「利益返上」課題は山積 みずほ証券誤発注 (朝日新聞 2005年12月20日)

(前略)誤発注で約120億円の利益を得たスイス系のUBSグループ。14日に「利益を保持する意図がない」と発表したが、幹部の心境は複雑だ。
今回、政界から「火事場泥棒だ」などの批判が出て、国内証券会社から「利益を返したい」との機運が高まった。UBSはこうした世論に押され、利益返上の談話を出したのが現状だ。
(中略)日本証券業協会は、証券各社の利益返上の「受け皿」を検討中。証券会社が破綻(はたん)した場合に備えて積み立てている日本投資者保護基金に、新たにシステム障害に備えた別勘定をつくる案が有力だ。しかし、この場合は証券取引法の改正が必要になるうえ、欧米の金融機関が本国を説得できるかは不透明だ。
(中略)法的に売買は成立したのに、業界団体の仕切りで利益を返上する仕組みは「極めて日本的な手法だ」(外資系証券)との批判もある。(後略)


強度偽装マンション、自治体が買い取り…政府が支援策 (読売新聞 2005年12月6日)

(前略)震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあるマンションについては、地方自治体が買い取って解体し、建て替えた上で、住民に再び分譲する枠組みを創設する。マンションの買い取り価格は、建物に価値がないため、土地相当額とする。解体費用は、業者に請求する方針だ。
(中略)政府が自然災害以外のケースで、公的支援策をまとめるのは異例だ。閣僚会合では、北側国土交通相が公的支援実施の根拠として、「(耐震強度偽装マンション倒壊の危険があるので)近隣住民の安全は極めて緊急性があり、早急に解決する必要がある」と説明した。
(中略)当面の対応として、耐震強度偽装マンションからの退去者に対し、「移転費と仮住居の家賃を支援する」と明記し、国と地方自治体が連携して、入居者の引っ越し費用や、転居先の家賃の補助を打ち出した。(後略)


どんなルールにもそれぞれ理由がある。合理性のあるルールもあれば首をかしげざるを得ないようなルールもある。そのルールによって公正な結果が確保されることもあれば、ルールがあるために納得できない結果が出ることもある。

例えば浅田真央の場合。彼女をトリノ・オリンピックに出してやりたいと思う気持ちは多くの人が共有していることだろう。例えばみずほ証券の場合。他人のミスに乗じて多額の利益を得る人が出ることに釈然としない思いを抱く人は多いだろう。例えばマンションの強度偽装の場合。ローンで買ったマンションが欠陥建築だったら国が買い取ってやれと考えるのも無理からぬ面はあるだろう。

しかし、それでは年齢制限を定めた国際スケート連盟の規定に何の意味があるだろう。売りたい人と買いたい人の意思の合致で契約は成立するという法律の価値はどこに行ってしまうだろう。特定の個人の財産の形成に公的資金を投じないという原則をだれが省みるだろう。

結果が正しいかどうかにはいつでもいろんな意見がある。何が正しい結果かということは人によって考え方が違うから、あらかじめ手続をきちんと決めておくことで、その手続に則って導き出された結論はみんなで受け入れることにしようというのが「ルール」というものの考え方のはずだ。そうやって出てきた結論が気に入らないからといってルールを無視していいというのなら、初めからルールなんて作る必要はなくなってしまう。

もちろん実状に合わないルール、不合理なルールは常に見直し、作り変えて行かなければならない。しかし現にそこにルールがある以上はそれを守ることが社会というものの前提である。だれかが適当にルールをねじ曲げたりいいように解釈したりすることの怖さ、危うさを僕たちは社会の授業で習ったはずだったが、結局それは僕たちの国にはちっとも根づかなかったということなのかな。結果が妥当ならルールを歪めてもよいという考え方は、結果の「正しさ」について考え方の多様性、相対性を前提とする僕たちの「民主主義」と相容れないはずだと僕は思う。



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