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サマータイムの導入がにわかに現実味を帯びているらしい。今回は温暖化ガスの排出基準を満たすための対策ということで結構気合いが入っているそうだ。面白い。一度やってみればいい。でも…。

僕はドイツでサマータイムに7年つきあった。ドイツの冬は長く、暗い。緯度が高いので、冬の間、昼の時間は極端に短い。夕方4時過ぎにはもう暗くなり始める。朝だってヘッドライトをつけてクルマで出勤することになる。日中もほとんどの日は弱々しい電球みたいな太陽しか拝めない。だから、ドイツ人は冬の間ずっと、明るい季節、太陽の光を待ちわびている。

春分を過ぎると今度は昼の時間がぐっと長くなる。起きるともう明るい。夜も9時頃まで明るい。ドイツ人的にはこれはとてももったいない。冬の間ずっと待っていた太陽の光である。もっと早く起きて少しでも長く日光を浴びたい。舗道に出したテラスでビールを飲みたい。そうだ、国中の時計を1時間進めてしまうのはどうだ。

だからドイツ人にとってサマータイムは極めて自然な成り行きである。貴重な太陽の光をできる限り有効にエンジョイするためにはサマータイムはとても合理的な制度である。太陽が出ているのなら早く起きて、その分早く仕事を終わり、日のあるうちに余暇を過ごしたいというごく当たり前の考え方なのだ。

しかし、日本ではどうだろう。日本は温帯モンスーン気候の国である。高い気温と湿度。厳しい直射日光。蒸し暑い。早く日が沈んでくれた方がよっぽど涼しい。何も1時間早起きしてその分太陽の出ている時間を楽しみたいなんて思わない。むしろ、逆に1時間ゆっくり起きて、その分、日の入りが1時間早くなってくれる方が嬉しい。それが僕の感覚。

1日はどのみち24時間なのだから、サマータイムになったからって余暇が増える訳ではない。余暇を明るい時間に割り当てるか、夜に割り当てるかというだけの違いであれば、蒸し暑い日本の夏は、むしろ余暇は夜の涼しい時間に割り当てるのが合理的なんじゃないかな。それに省エネ的にも、早く起きて明るい間の活動時間を増やすと、それだけエアコンの使用が増えて逆効果のような気がするのだが。



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