名前をつけてやる
僕にとってプロ野球は85年のタイガースの優勝で完結しているので、別にその後どこがどうなろうが知ったことではないのだが、面白そうな話なので口を出すことにした。 近鉄のやりたかったことは明快だ。カネがないので球団の名前を売り出して赤字の穴埋めをしようというのだ。ふむふむ。グッド・アイデアじゃん。球場の名前が売れるのなら球団の名前はもっと高く売れるはず。企業家としては申し分のない発想だ。いや、皮肉で言ってるのではなく、厳しい経営への対策としてそういう大胆なアイデアが出てくるということが近鉄の企業としての健全さを示していると真面目に評価しているのだ。業績連動という今ふうのスパイスだってちゃんと効いている。これがうまく行けば宣伝媒体としてのプロ野球の価値はグッと上がるだろう。 ところが他の球団のオーナーたちはどうもこれが気に入らなかったようだ。「事前に相談がなかった」というのが感情的になった最大の原因なんじゃないかと思うんだけど、それってバカっぽいというか日本的というか。まあ、プロ野球の球団なんて所詮12個しかない訳でそのオーナーどうしというのは仲よしクラブみたいなもんだろうから、公表する前に連絡してくれよというのは心情としては分からなくもないけど、そもそもそういうムラ社会的な閉鎖性がプロ野球そのものの人気をジリ貧にしているという危機感みたいなものはまったくないのな。 まあいい、そういうムラ社会の掟の問題はとりあえず置いとこう。じゃ、名前を売るということ自体はどう考えればいいのかな。もちろん、「名は体を表す」なんて警句を持ち出すまでもなく、名前は単なる「記号」として以上の意味を持っている。どんなものも名前をつけられることによって初めて存在するようになるのだ。名前とは簡単に売り渡したりしてしまえるようなものではない。 だが、「大阪近鉄バファローズ」の「名前」は何だろうか。分かりやすくいえば、僕たちはそれが「近鉄」だから応援するのか、あるいは「バファローズ」だから応援するのか。 少なくとも僕はあの球団の名前は「バファローズ」だと思っている。球団名に冠されている企業名が何であれ、そんなことはどうでもいいことだ。そうじゃないのかな。「タイガース」ですらその経営母体がどうしても阪神電鉄でなければならない理由なんてどこにも見当たらない。85年、僕がその優勝に涙した球団は「タイガース」だった。それをたまたま阪神電鉄が経営していただけのことだ。 だとすれば、「バファローズ」、「タイガース」というチームの本質が維持される限り、その前につく企業の名前が何であってもそんなことは副次的な問題に過ぎないし、その企業と実際に球団経営をしている企業が別でも同じでも、そんなことはファンの知ったことじゃないだろう。売ってカネになるのなら、そしてそれが経営を助けるのなら売らせてやればいいじゃないか。チーム名の前に企業名がついてること自体がそもそも滑稽なんだから、そんなもの自由に売ってもらって構わないと僕は思う。 もともとチームごと身売りすることを認めておきながら、そしてライオンズが所沢へ行ったり、ホークスが福岡へ行ったり(ホークスは難波のチームだ、そうだろ?)、ファイターズが札幌へ行ったりするようなデタラメなフランチャイズの移転までも許しておきながら、球団名にスポンサー企業の名を冠してカネを取ることにだけそこまで神経質になる理由が僕には分からないのだ。ジャイアンツだってこないだまで「TOKYO」と書いてたビジター用ユニフォームの胸に、最近は「YOMIURI」だなんて書いてんじゃん。 そんなことよりプロ野球も6球団ずつ2部制にして、毎シーズン2チームずつ入れ替えたらどうだ。ジャイアンツが2部落ちしたりしたら盛り上がるぞ、きっと。 2004 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |