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何が腹が立つと言って、100円ショップで買い物をしたのに105円取られるほど腹の立つことはない。それなら105円ショップと名乗らんかい、と思うのだが、どうしてそんなバカなことがまかり通っているのか、僕にはいまだに理解できないのである。

もちろん僕も日本国民だから消費税というものの存在は知っている。外税方式という珍妙な価格表示の仕組みも知っている。しかし、小売業者たる者、消費者に「要はいくらか」、「全部でいくらか」を示さないでどうやって商売するのか。税金は自分たちの取り分じゃないから「価格の外」だというのか。買う方にすれば人件費だろうが原材料費だろうが輸送費だろうが包装費だろうが払わされるものは何でも価格の一部である。消費税だけがそこから別建てにされなければならないことの根拠はいったい何だ。

確かに小売業者にしてみれば、消費税はそのまま税務署に納めるものだから一種の預り金のようなものであり、価格とは別のものだと感じるのかもしれない。しかし、それじゃあ消費税以外の「価格」分が全部小売業者の取り分かといえばそんなことはないはずだ。人件費、原材料費、輸送費、包装費…、その商品を売るためにかかっている費用は消費税の他にも山ほどあるし、普通は純粋に小売業者の手許に残るカネの方が少ないくらいだろう。そうした様々な費用は全部「価格」に含まれ明細を開示されることもないのに、消費税だけ「上乗せ」扱いなのはどう考えてもおかしい。

痛税感、担税感の欠如を問題にする意見もあるが、それもどこかおかしい。僕は別に消費税額を表示するなと言っているのではない。全部でいくらかを初めからきちんと示して欲しいと言っているだけなのだ。消費税がその105分の5だということは考えれば分かることだし、消費者に痛税感、担税感を味わって欲しいのならレシートに税額を明記すればいいことだ。他人事のような顔をして「本体100円+税金」みたいな表示をすることや、税込みか税別かも表示しない値札をつけておいてレジで5%を上乗せすることが我々の痛税感や担税感と何か関係があると思っているのなら大笑いじゃないか。消費者が「この値段は税込みだろうか、税別だろうか」とか、「2,980円に5%乗せるといくらになるんだっけ」とかいちいち悩まなければならないことが痛税感、担税感なのか。

問題は、実際にレジで精算するまで最終的な支払いがいくらになるのか分からないということであり、また内税表示と外税表示が巷に混在していて貼ってある値札がどちらのやり方なのかも分からないということだ。そういえばどこかの新聞に「内税方式だと税額を知るのに105分の5を計算しなければならなくなる、これは電卓なしではできない」と投書していた人がいたが、本体価格だけの値札から総支払額を知るために100分の105を計算しなければならないことの方がよっぽど問題じゃないのかな。何かバランスがおかしくないか。

頼むからレジスターが値段を表示するまでいくら払うべきかも分からないような価格表示はやめて欲しい。そんな当たり前のことにいろんな人たちがこぞって反対しているのはなんでだろう。まあ、要はあれだろうな、消費税抜きの価格で客を釣っておいて、最後に「これに消費税が乗りまして…」と電卓をたたいてみせるような商売ができなくなると困る人がいるのかもな。



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