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ついに来た。米英によるアフガニスタン攻撃だ。もちろんその是非について議論はあっていい。しかし僕はこの攻撃を支持する。

その理由はいくつかあるが、まず、テロリストにはテロが割に合わないということを明白に示さなければならないということ。国際社会はそのルールを無視するテロを決して許さないしテロに屈しないということを具体的な形にしなければならない。我々は、平和な秩序に守られその利益を享受する者として、その国際秩序に暴力で対抗しようとする者には断固として反対と対決の姿勢を見せなければならない。これは原理原則の問題だ。

次に、アメリカがテロ以後、今回の攻撃に至るまで、国際的に必要なステップをそれなりに積み上げてきたことだ。テロ直後こそ激情に駆られてすぐにでも攻撃を開始しそうな雰囲気もあったが、その後アメリカは一定の時間をかけてできるだけ多くの国、多くの勢力と接触してその支持を取り付け、テロリストに対する包囲網を徐々に狭めてきた。タリバーンに対してもテロリストの引き渡しを要求するという手順をきちんと踏んでいる。もちろんその一方ではアフガン攻撃に関する綿密な情報収集、分析が行われてきただろうし、今回の攻撃が決してテロへの腹いせ、憂さ晴らしとしてのやみくもで盲滅法な「報復」でないことは明らかだ。

さらに、そうしたアメリカの外交努力の結果、ロシア、中国を含むほとんどの国がその行動を支持していること、そして同盟国としての西側諸国がアメリカ支持で一致していることだ。もちろん日本もこの攻撃を支持している。日本も含め重要な同盟国には攻撃に先立って内報があったことも明らかにされている。

アメリカは、この攻撃がアフガニスタンの一般市民に対するものではなく、テロリストの根絶とその支援者であるタリバーンの崩壊を目指したものであることを強調している。こうした明確な目標設定がなされていることも重要である。攻撃目標は現在のところタリバーンの軍事拠点に限定され、一般市民への援助物資、食料等の投下も行われている。

こうした点を総合すれば、今回の攻撃は外交手段も含めたテロ根絶への動きの一つとして容認され得るものだと僕は思う。また、日本政府が攻撃直後に全面的な支持を表明したのも実に正しかった。日本は中立国でもなければ局外者でもない。紛れもない西側先進諸国の一員であり、まさにグローバル資本主義の恩恵を享受している世界で最もアメリカに近い国の一つなのだ。その国がアメリカの外交行動を支持するのは当たり前のことだし我々はそのことを忘れてはいけない。安易な反米ナショナリズムは日本の道を誤らせる。

ちょうど1ヶ月前、僕はこう書いた。「どちらかといえばこっちの言ってることの方がもっとものようだ、というくらいのことしか言えない、それが国際政治というものだろう。そこで白黒つけようという考え方の方が危険だし、白黒つけることができる、つまり善悪で割り切ることができると考えるのは思想的に怠慢だよ」と。しかし今回のテロでは我々は局外者ではなく、一方の当事者なのだ。当事者として立場を明確にするのは当然のことだと考える。



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