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親愛なる小野君、元気でやってますか?

さて、このたび、貴君の所属する浦和レッドダイヤモンズが健闘むなしくJ2降格の憂き目を見たのは誠に残念なことでありました。レッズはJリーグでも随一の観客動員を誇る人気チームですから、それが降格になるのは特別にレッズファンでない僕たちにとっても大変残念なことです。来季には是非ともJ1に復帰して欲しいものだと影ながらお祈りしている次第です。

ところで、このレッズJ2降格に際して、先のワールドカップにも出場し、オリンピック予選ではチームの要となって奮闘した貴君の去就が注目を集めています。一部にはASローマへの移籍等も取り沙汰されているようですね。心中さぞ複雑なものがおありでしょう。お察し申し上げます。今日の新聞では貴君はまず浦和との契約交渉を優先したいとおっしゃったとの由、それもまた道理かと思います。

しかしながら、貴君ほどの才能あるプレーヤーは、この機会に浦和を出るべきだと僕は思います。もちろんチームに愛着はあるでしょう。自分の力でこのチームを再びJ1に復帰させたいと考えるのも自然な感情かもしれません。しかし、2002年のワールド・カップを展望するとき、日本には世界のレベルで戦える若いプレーヤーが必要です。貴君はその筆頭候補として、今、武者修行に出るべき時なのではないでしょうか。

ヨーロッパでは、各国の選手がいろんな国のチームに入り乱れてリーグを戦っています。ドイツ・ナショナル・チームのキャプテンであるビアホフはACミラノにいますし、フランスのジョルカエフはドイツのカイザースラウテルンでプレーしています。ACミラノにはウクライナのスーパー・スター、シェフチェンコもいますし、ノルウェーのエース、フローはプレミア・リーグのチェルシーにいます。このように世界中の人材が絶えず流動しながら互いに切磋琢磨し、レベルを上げているのです。

貴君はそうした場所に飛び込むべきです。浦和に対する恩返しは、貴君が世界のレベルで戦える選手になることで果たせると考えてはどうでしょうか。厳しいようですが2部落ちしたチームから主力選手が去るのはごく当たり前のことです。2部落ちしたチームはその逆境からいかにしてチームを建て直すのかという難題を負いながら戦うのが宿命であり、それはリーグ戦の醍醐味の一つでもあるのです。

Jリーグも峠を越えた外人選手を「買う」だけではなく、こうした世界的な双方向の人材流動プールとして機能して行かねばなりません。そのためには貴君のような才能あるプレーヤーは臆せず海外に出るべきであり、逆に一流の選手や無名の才能ある選手を海外からJリーグに迎えるべきです。そのことによって日本のサッカーのレベルは確実に上がって行くはずです。

イタリアでもスペインでもイングランドでもドイツでも結構。レベルの高い外の世界で腕を磨き、それを土産にワールド・カップに凱旋を果たすのが貴君の選ぶべき道だと僕は信じます。お節介なようですがどうかご一考ください。

では、お身体に気をつけて。一ファンより。



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