Masamichin Sugi LIVE 2026 「MUSIC MAN」春のレコ発まつり!
新作「MUSIC MAN」発売記念ライブ。アルバムのリリースは7年ぶり。その間もライブでは毎回のように新曲が披露され、すでにライブ・アンセムとして定着したものすらある。もう曲は十分たまってるだろうから早くアルバム出してよ杉さんとおそらくライブに毎回足を運んでいるほぼ全員が思っていただろう。それが4月末にようやくリリースされた。満を持してのレコ発ライブである。職場近くのゴーゴーカレーでロースカツカレーを食べて渋谷に向かった。 最初は慣らし運転として従来のレパートリーを数曲(しかしこの導入の選曲もよかった)、そのあとは新譜からのナンバーを中心に二部構成でステージは進んだ。あれまだやってないよねと思っていた『バブル絶頂期』を最初のアンコールで、そして『It's Show Time』を最後の最後に演奏して、結局アルバム「MUSIC MAN」の収録曲は全曲披露、ついでにアルバム完成後につくったというタイトル・チューン『Music Man』も聴くことができてラッキー。 今回のライブを聴いて感じたのは、杉真理のソングライティングがスゴみを増してきているということ。もちろん今回のアルバムに収録され、この日ステージで披露されてきた曲の多くが、これまでもライブで何度も演奏され耳なじみのあったものであるということもあるのだろうが、それにしても古希にして杉が今とても充実した状態にあるのではないかと感じた。 それはもちろん、音楽的になにか目覚ましい革新があるということではない。それどころか、杉の書く楽曲はますます平易に、ますますシンプルに、ますます聴きやすくなった。そしてその分だけ普遍的ななにか、スタンダードなもの、大げさにいえばいわばポップ・ミュージックのイデアのようなものに近づきつつあるのではないかとすら感じられたということだ。 『Sugar Love』や『HUMAN DISTANCE』、『ヴェナリッツ』などゆったりした曲も、『アナログマンの告白』や『バブル絶頂期』、『It's Show Time』のようなアッパーな曲も、どれもどこかにある「原型」を忠実にモデルにしながら、そこにはまぎれもない杉真理のシグネチャーがはっきりと刻まれている。杉真理はずっとそれをやり続けてきたわけだが、それがここにきてちょっと余人には真似のできない高みに達してきたのではないか。 その大きな支えのひとつが、メンバーの固定したバンドの存在であることは間違いない。この日も杉の音楽の勘どころをしっかり理解したバンドの演奏は隙のないもの。新譜のレコーディングもこのバンドで行われている。宮崎のサックスの音色の美しさはちょっと名状しがたい。『バブル絶頂期』での橋本のナイル・ロジャースを彷彿させるカッティングや高橋のティンバレスもよかったが、『アナログマンの告白』での清水のフィルがこの日のベスト・パフォーマンスだったと思う。 アルバム未収録の新曲『Music Man』は杉が自らネタバレしたとおりビートルズがカバーした『Till There Was You』をモチーフにした軽妙な作品だが、なぜそうなるのかの説明も含めて、本当にビートルズが、音楽が好きなんだなあと思わせるエピソードだったし、「じゃ、こんな感じで」っていってサクッとそれが美しい曲になって仕上がってくるのが本当にスゴい。音源化を希望する。 ほかにも今作に収録しきれなかった曲、その後もつくり続けている曲を含め、アルバムをもう一枚や二枚作れるだけの作品のストックはまだあるはずで、せっかくレーベルもつくったんだし出し惜しみせず出せるうちに出せるだけ出すのがモアベター。いつもながらコスパ、タイパ抜群でお得感満載のライブ体験。また来ます。 2026 Silverboy & Co. |