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オレンジ・ジュースの曲名から取られた英文タイトルの「Three Cheers For Our Side」は「僕らのもったいぶりに万歳」。アノラックからパステルズ・バッヂをはずせ、だの、ヘアドレッサーは男の子じゃなくちゃいけない、だの、高い山ではまだ激しく雨が降っている、だの、下手くそな英語で次から次へと歌われるネオアコ・オマージュ。アズテック・カメラ、キング・オブ・ルクセンブルグ、ジョセフK、ペイル・ファウンテンズ…。サロン・ミュージックの吉田仁がプロデュースしたデビュー・アルバムがこれである。
もちろんこれがただの学園祭のお楽しみ的バンドなら彼らのブレイクはなかった。自らの特権的な趣味性に自閉した内輪受けなら小沢健二もコーネリアスも日本のロック史に名前を残すことはなかったはずだ。このアルバムが、それ自体は他愛のないネオアコ・オマージュであっても、結果としてその先につながる音楽的冒険への扉となり得たのは、ひとつには小沢と小山田の非凡なソング・ライティングによるものであり、さらには彼らの選曲家としての確かなコラージュ・センスと、そして深い愛情によるものに違いない。
ここで彼らはまるで好きな女の子に秘密のコレクションをひとつひとつ説明する少年のように、瞳をキラキラさせながらかけがえのない時間を歌い尽くしている。往々にしてそれを聴く女の子は彼の秘密のコレクションのことなんか全然興味はないのだが、ただ、彼の嬉しそうな口調とか、熱を帯びてテーブルの上に乗り出す細い腕とか、そういうひとつひとつに目を奪われているのだ。これはそういうアルバムであり、我が国において不遇だったギター・ポップが日の目を見るきっかけにもなった愛すべきピース・オブ・ラブ。
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